PD講評
元素戦略プロジェクト<研究拠点形成型>
今後4年間の成果収穫期への期待
10年プロジェクトとして発足した当初からPDを務められた村井眞二先生と澤岡 昭先生がそれぞれ4年目および6年目でご勇退され、筆者がその後のPDをお引き受けすることとなりました。残り4年間という成果収穫期のPDであり、責任重大です。微力ながら気を引き締めて、各拠点との情報交換を密にとりつつ取り組みたいと思います。
4拠点の残り4年間の達成目標は以下のように要約できましょう。特筆すべき成果も出つつあり、今後の取り組みに大いに期待しています。
磁性材料研究拠点
「2-14-1系Dyフリーネオジム磁石および1-12系RFe12系究極高性能磁石材料の実現」
電子材料研究拠点
「物質の構造・化学状態の多様性と多存元素の活用およびマテリアルインフォマティックスに基づいた、真に実用に耐える材料の開発」
触媒・電池材料研究拠点
「自動車触媒のPd、Rh、Ptの減量・代替;二次電池のLi、Co からNa、Feへの代替」
構造材料研究拠点
「バルクナノメタル化と多彩な変形子の制御・組み合わせによる鉄鋼、Ti、Mg構造材料の高強度/高延性の両立の実現」
元素戦略研究は、単なる課題解決型プロジェクトではなく、サイエンスベースでの学理構築とそれに基づくイノベーション創出・産業応用に繋げる国家プロジェクトです。
最近の産業界の技術革新のスピードには目を見張るものがあります。この国家プロジェクトは産業界から信頼され、尊敬され、期待される存在でなければなりません。そのためにも、各拠点は産業界との情報交換の密度をこれまで以上に高める必要があります。それを通じた、産業応用、社会実装の基盤となるレベルの高い学理の構築と、それに基づいた革新的な物質材料創出に期待しています。
玉尾 皓平
元素戦略プロジェクト<研究拠点形成型>サブPD
理化学研究所研究顧問 グローバル研究クラスタ長